インド映画「きっと、またあえる」“あの頃の自分”をたどり人生の価値を見つめ直す青春群像劇!

インド映画「きっと、またあえる」を観てきました!
中年エリートビジネスマンの主人公が、受験失敗によって自殺を図った息子と向かい合い、学生時代のエピソードを語りながら「人生において勝ち負けよりも大切なもの」を確認し合う心温まる映画です。
ストーリーは学生時代のエピソードと現在のエピソードが交互に描かれて進行する構成。
主人公はスシャント・シン・ラージプート氏。2014年公開の映画「PK」でヒロインが恋に落ちるパキスタン人の青年役を演じて一躍有名になりましたね。
画像:「Wikipedia/Sushant Singh Rajputより引用」
そして・・・誠に残念な話ですが、スシャント氏は先日(2020年6月)、自宅で首を吊って亡くなっていたのを発見されました。「きっと、またあえる」を始め、去年から今年にかけて主演映画の公開が続き、成功の階段を駆け上がっている様に思えましたが・・・。
スクリーンの中で活力に満ち溢れた主人公を演じている彼の姿を見ていると、自ら命を絶ったことが想像できません。
・・・話を戻しまして。
監督・脚本は「ダンガル きっと、つよくなる」のニテーシュ・ティワーリー氏。
※ダンガルは、インドの姉妹レスリング選手を育てた父親の実話をもとにした映画。おすすめです!ニテーシュ氏は映画の舞台である超難関校「ムンバイ工科大学(IIT Bombay)」の出身。自身の学生時代がそのまま映画に反映されている部分もあるかもしれませんね!
日本でインド映画がこうして全国劇場公開される様になったきっかけは、「きっと、うまくいく(3idiots)」のヒットが一因となってるのかなぁと思うのですが(それ以前は、ミニシアターではない普通の映画館でインド映画の公開なんてほぼありませんでした。)
「きっと、うまくいく」「きっと、つよくなる」に続く「きっと、○○三部作」と呼びたい映画。それが「きっと、またあえる」でございます。タイトルだけじゃなく、ストーリーやコンセプトも共通している部分がありますね。その辺りの話は後ほど、記事の中でお伝えしていきたいと思います。
目次
インド映画「きっと、またあえる」のあらすじ
画像:Times Of Indiaより引用
大商業都市ムンバイで多忙な日々を送る中年エリートビジネスマン、主人公のアニ。超難関校「ムンバイ工科大学(IIT Bombay)」の出身。元同級生の妻、マヤとは数年前から別居中。
同居している息子のラガーヴは受験生。同大学を受験し、結果を心配して不安な日々を送っている。
合格発表の前夜、アニは息子のために「試験結果がわかったらこれを一緒に飲もう!」なんて高級シャンパンを用意。それが息子ラガーヴの抱えているプレッシャーに拍車をかける。
合格発表当日、試験に落ちた事が判明した直後に息子ラガーヴはマンションのベランダから飛び降りてしまう。
病院に駆けつけるアニと妻のマヤ。二人に医師が告げたのは、「症状の回復には本人の生きる意志も重要だが、その様子が今、見られない状況」という話。
そこで息子に生きる意欲を取り戻してもらうために、アニは自分が学生時代に「負け犬」だったエピソードを枕元で語り出す。
主人公アニが過ごしたムンバイ工科大学のキャンパス内にはH1〜H10まで計10棟の学生寮(ホステル)があり、寮によって住んでいる学生の質や設備の充実度が異なる。
主人公アニがあてがわれたのは「負け犬」が集う悪名高きH4(ホステルNo.4)。
そこで出会う個性豊かなおバカキャラの先輩や友人たちに囲まれながら、威厳を取り戻すために寮対抗のスポーツ大会GCカップで優勝を目指すのだ。
昔話を語る中で、ラガーヴは意識を取り戻す。もっと息子を元気付けようと、当時の仲間達を呼び寄せるアニ。
旧友達との再会によって、アニは自分が見失っていた「人生で1番大切なもの」を改めて見つめ直す・・・。
果たして、万年最下位の負け犬寮「H4」は、見事に優勝して名誉を取り戻すことができるのか?
主人公アニが昔の思い出から見つめ直した、「人生において最も必要なこと」とは?
「きっと、またあえる」のみどころは?
インド映画「きっと、またあえる」のみどころをご紹介していきます!
その1・超王道の青春ラブコメディ!
まず1つ目は何と言ってもこれ。笑って泣ける超王道の青春ラブコメディ!!
主人公が振り返るのは、1992年のムンバイ工科大学での寮生活。
歩く下ネタ的な先輩や、アル中、マザコン、渋すぎる兄貴など様々な寮メイト達や「理系大学ではハレー彗星並みにレアな美女」マヤと関わりながらストーリーが進行していくのです。
バカばっかやってたあの頃、懐かしいわぁ・・・。なんて、自分の学生時代を振り返り懐かしくなりますね。
また、私自身インドに住んでた頃によくデリーの大学の寮に遊びに行っていたので、映画に登場するキャンパスや寮のボロッボロ具合は何とも懐かしかったです笑
主人公アニも、スポーツ万能でちょっとドジで好きな子の前ではモジモジしちゃうド定番主人公キャラ!!
映画で描かれている学生時代のエピソードは、思わずアハハと笑えるシーン満載です。
その2・白熱するスポーツ大会
映画「きっと、またあえる」の学生時代のエピソードは、学生寮対抗のスポーツ競技大会「GCカップ」が軸になっています。
バスケットにクリケットにサッカーにリレーにホッケーなど、定番スポーツもあれば、カバディやキャロム(インド発祥のボードゲーム)など珍しい種目もあり。
実力が伴わない主人公達は、知恵とアイディアと姑息な手段をフルに活用して次々と勝利を収めていきます。
また、「ダンガル きっと、つよくなる」でも緊迫するレスリングの試合を描いていたニテーシュ監督ですが。
今回の映画「きっと、またあえる」でも同様の手法でラストのバスケットの試合を描いていましたよ。
「ど・・・どうなっちゃうの!?」なんて、映画に登場するあらゆるスポーツの競技シーンでは思わずグッとスクリーンに引き寄せられます!
その3・ちょっと体育会系な人生訓
この映画「きっと、またあえる」で何度か象徴的に用いられる言葉があります。
それが「Koshish(コシシュ)」。
日本語では「努力」や「試み」と言った意味です。
Tumhara result decide nahi karta hai ki tum loser ho ki nahi … tumhari koshish decide karti hai (Filmy Quotesより引用)
最後に息子に主人公が語りかけるシーン。
「お前が負け犬かどうかは、結果が決めるのではない。お前のこれまでの努力や試みがそれを決めるのだ!!」
エンディングの歌「Fikar Not」でも、「ウサギができないことを亀がやってのける」みたいな歌詞が出てきますし。
ちょっと古くさい人生訓な気もしますが、学歴や点数、ランキングばかり偏重しすぎるインドにおいては重要なメッセージなのかもしれませんね・・・。
個人的な感想
映画「きっと、またあえる」は、学生時代のエピソードと、現代のエピソードを織り交ぜながらインド社会への風刺を描いているのは「きっと、うまくいく(3idiots)」と似てます。
が、前者はメッセージがド直球すぎて、「きっと、うまくいく(3idiots)」の方がひねりが効いてて斬新だったなぁと感じる面も。(これは映画の好みによって意見が分かれるところだと思いますが!私自身は元々暗くてモヤモヤした映画が好きなもので・・・)
あと、「ダンガル きっと、つよくなる」と競技シーンの描き方が似ていて上手なのですが、ダンガルはレスリングの世界大会、かたや「きっと、またあえる」の方は学生寮対抗の運動会ってことで。
どうも真剣味にかけるというか・・・。
息子が最後の方で「そんなに努力したのに負けちゃったなんて・・・死にたくなったでしょ?」みたいなことを尋ねるシーンがあるんですけどね。
いやいや!そんな訳あるかい!
と、思わず突っ込みたくなってしまいました。
現代と過去の2部構成にしなくても良かったんじゃないかなぁ?と個人的には感じます。学生達の青春エピソードだけでも、「結果よりそこに至るまでの経過が大切」っていう伝えたいメッセージは伝えられただろうし。
何となく、テーマが散漫になっちゃったかな?という印象はあり。
でもね。全体的には笑あり涙ありでとても良い映画だと思います。インドやインド映画に興味ない人でも素直に楽しめる映画です!
まとめ
インド映画「きっと、またあえる」は、笑って泣ける超王道な青春ラブコメディでもあり、また勝ち負けよりも大切な何かを示すメッセージ性の強い映画でもあり。
青春時代のトキメキとか笑いを思い出したいあなたにおすすめです。
そうそう、学生時代と現代を同じ俳優さん達が演じているので、違和感たっぷりのツルッツルのハゲのカツラを被って演じていたりするんですけど。
感動シーンでこのハゲヅラ・・・と突っ込みたくなってもそこはあえてスルーしておきましょう。